特選 |
一匹になっても歌は忘れない |
山本トラ夫 |
秀句1 |
いま孤独すぐに明るい幕が開く |
中ちょう |
秀句2 |
さっきまで主役の俺が置き去られ |
真理猫子 |
秀句3 |
立ち上がれ涙一粒だけ流し |
団石 |
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前抜き |
銃がみなトランペットにならないか |
ひとり静 |
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平和っていいなぁ妻は帰省中 |
加藤 鰹 |
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カーテンに守られている個人主義 |
松尾冬彦 |
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マドモアゼルがラストダンスを待っている |
鹿野 椿 |
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進軍のラッパは錆びたままでいい |
山本トラ夫 |
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ステージの陰にも光るものはある |
中前棋人 |
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その内に進軍ラッパ鳴る日本 |
淡路 獏眠 |
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花嫁に父の生き様吹いてやる |
鹿野太郎 |
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産声は高くオペラの幕が開く |
加藤 鰹 |
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戦地から還らぬ主を待つ喇叭 |
野村辰秋 |
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窓際でカーテンコール待っている |
山本トラ夫 |
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待っていてください羽化が終わるまで |
赤松ますみ |
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聴診器あてて地球の鼓動聞く |
逸志 |
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天国のほうへ聞き耳たてている |
赤松ますみ |
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彼を待つシナモンティーとニニロッソ |
加藤 鰹 |
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避雷針立ててごろ寝を決めている |
逸志 |
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選後感 |
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私が課題の写真から感じたものは「清潔&孤高」そして「静寂&寂寥」。 |
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特選の句は、群れから離れて屹立した冷たいイメージが、いかにも「一匹」であり、 |
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しかも楽器から離れず「歌は忘れない」とした「深い想い」を高く評価する。 |
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秀句3句、いずれも「孤高」と「寂寥」を感じさせ、課題のイメージにしっくり添っている。 |
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平抜きの、「銃がみな・・・」「平和って・・・」「カーテンに・・・」「マドモアゼルが・・・」 |
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上位4句、最後まで「秀句」と競った末の平抜きである。 |
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入選句いずれも、課題の写真を外しても1句1姿として鑑賞に耐える作品である。 |
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赤松ますみ選 |
特選 |
温暖化問診だけの聴診器 |
野村辰秋 |
秀句1 |
ただいまから恋の刹那を奏でます |
宇宙 |
秀句2 |
避雷針立ててごろ寝を決めている |
逸志 |
秀句3 |
緞帳の裏には昭和史の墓標 |
板垣 孝志 |
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前抜き |
擦ってごらん願いがきっと叶います |
鹿野 椿 |
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五線譜の中でさまよう尋ね人 |
山本野次馬 |
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ワタクシの代わりにまさかマシンガン |
ティレックス |
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言いわけのできない位置にトランペット |
ひとり静 |
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聞いているような眠っているような |
若芽 |
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銃がみなトランペットにならないか |
ひとり静 |
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夢抱いて一人で生きていくつもり |
真田義子 |
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サッチモをやれば有給くれますか |
鹿野太郎 |
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お喋りなラッパでいつも立たされる |
板垣 孝志 |
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家族みなそろう 下手でも鼓笛隊 |
館長 |
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平和っていいなぁ妻は帰省中 |
加藤 鰹 |
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進軍のラッパは錆びたままでいい |
山本トラ夫 |
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緞帳の向こうは地獄かも知れぬ |
江藤一市 |
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負け戦そ知らぬふりでいるラッパ |
団石 |
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亥の年のカ−テンコ−ルおことわり |
茶っ茶 |
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背筋伸ばすと透明な声が出る |
新家完司 |
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選後感 |
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団石さん出題の印象吟はいつもセンスがいいと(お世辞ではなく)思います。 |
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今回もおかげさまで楽しんで選をさせていただきくことができました。 |
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題の中のトランペット、ラッパ、カーテン、などの印象をそのまま詠んだ句も |
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多かったけれど、全般的にいい作品が集まっていたようで入選句数を |
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絞るのに少々苦労しました。限りなく自由吟に近い作句のきっかけを |
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与えてくれるのが印象吟の良さだと思うのです。題をいったん自分に |
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取り込んで咀嚼してから吐きだした作品は題を離れても独立した自分 |
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自身の一句として残すことができますし、本来、句会での題吟も |
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そうあるべきではないかとも考えています。ユニークな発想に特に |
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惹かれるものがあった秀句三句、そして特選の「聴診器」に託した |
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現代社会への痛烈な批判には脱帽です。(赤松ますみ) |
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加藤 鰹 選 |
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特選 |
聞いているような眠っているような |
若芽 |
秀句1 |
緞帳の裏には昭和史の墓標 |
板垣 孝志 |
秀句2 |
進軍のラッパは錆びたままでいい |
山本トラ夫 |
秀句3 |
頼むから一人にはしないでくれよ |
井丸昌紀 |
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前抜き |
待ち人は来る十万光年を |
館長 |
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一匹になっても歌は忘れない |
山本トラ夫 |
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お喋りなラッパでいつも立たされる |
板垣 孝志 |
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カーテンに守られている個人主義 |
松尾冬彦 |
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さっきまで主役の俺が置き去られ |
真理猫子 |
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ピンクの君恥ずかしがらず出て来いよ |
井丸昌紀 |
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引きこもり再チャレンジの時を待つ |
マミィ |
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下手くそなラッパと猫の恋終わる |
松尾冬彦 |
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核を持ち世界平和のラッパ吹く |
ふくだ万年 |
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五線譜の中でさまよう尋ね人 |
山本野次馬 |
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自己主張曲げて男の孤独感 |
若芽 |
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銃がみなトランペットにならないか |
ひとり静 |
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聴診器あてて地球の鼓動聞く |
逸志 |
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避雷針立ててごろ寝を決めている |
逸志 |
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赴任先帰れば部屋も他人めき |
若芽 |
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緞帳の向こうは地獄かも知れぬ |
江藤一市 |
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選後感 |
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皆さんの素晴らしい感性に脱帽です。入選20句を絞り込むのに苦労しました。 |
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句が『ラッパ』に偏っていないこと、『カーテン』に偏っていないこと、 |
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一句として独立したメッセージがあること。 |
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以上3点を重視して上手にブレンドされている作品を選びました。 |
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作者別集計 |
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1位 |
山本トラ夫 |
9 |
2位 |
若芽 |
6 |
3位 |
板垣 孝志 |
6 |
4位 |
逸志 |
5 |
5位 |
野村辰秋 |
4 |
6位 |
加藤 鰹 |
4 |
7位 |
ひとり静 |
4 |
8位 |
井丸昌紀 |
3 |
8位 |
団石 |
3 |
8位 |
真理猫子 |
3 |
11位 |
松尾冬彦 |
3 |
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